①タイトル
　東工大の神谷です。「2段階成長法による多結晶シリコン薄膜の作製」について発表いたします。
　発表の概要をここに示します。

②背景
　我々グループでは、SiH4ではなくSiF4ガスを原料として用いることで、結晶性の高い多結晶シリコン薄膜を400C以下の低温で作製できることを報告してきました。また、この場合は10A/sという高い成長速度も得られ、得られた薄膜は高い配向性、典型的には(022)配向しており、特に太陽電池のような縦形デバイスについて優れた特性を示すものと期待されます。しかしながら、廉価なガラス基板などを使う場合に問題となるのは、製膜直後にアモルファス相が生成し、特性を劣化させることです。この問題は、数10A堆積毎に原子状水素処理を繰り返すLayer-By-Layer法によって解決できますが、しかしながら、LBL法は実効成長速度を下げるため、実際の応用には不向きであると考えられます。また、ガラス・プラスチックフィルムなどを基板として用いることを考えますと、あるいは、デバイス界面の拡散を抑制するためには成長温度をなるべく下げることが必要と考えられます.このような問題を解決するため、2段階成長法を提案してきました。

③2段階成長法
　2段階成長法では、まず、~380Cという比較的高温で、LBL法を用いて高品質な種結晶をつくります。その上に、実効成長速度のかせげる連続製膜法で、多結晶シリコンをエピタキシャルライク成長させます。この各過程を種結晶プロセス、成長プロセスと呼びます。
　成長プロセスではなるべく基板温度を下げたいわけですが、基板温度を変えることで種結晶－成長薄膜界面の構造が不連続に変化すると、特性の劣化が起こることが懸念されます。

④宮本さんデータ
　これは昨年宮本らが報告した成長プロセスのin-situエリプソメトリー観察結果です。種結晶を作製した後、大気開放して別のチャンバーで成長プロセスを行うと、成長プロセス開始時にエリプソメータで測定した<?2>トラジェクトリーにこのような大きなディップが観察されました。これは大気開放による表面コンタミネーションによるものと考えられますが、そのため、このように満足な太陽電池特性を得ることが出来ませんでした。
　このように、2段階成長における界面を改善することは特性向上のために不可欠と考えられます。

⑤目的
　そこで、いかにして連続的かつ滑らかな種結晶－成長薄膜界面を得られるか、分光エリプソメトリーその場観察を用いて調べることを本研究の目的としました。また、最終的な薄膜の構造に、種結晶の構造がどのような影響を与えるかについても検討します。

⑥実験装置
　これは本研究で用いたマイクロ波プラズマエンハンスドCVD装置です。原料ガスとしてSiF4、希釈ガスとしてH2,Arを用いています。H2,ArガスはSiF4と別にステンレスチューブ内を通し、マイクロ波プラズマで励起した後、SiF4と混合してSiF4を分解しています。LBL法の堆積プロセスと水素処理プロセスはSiF4ガスを間欠導入することで制御しています。また、この装置にはその場観察可能な分光エリプソメータが備え付けられています。

⑦実験条件
　典型的な製膜条件をここに示します。マイクロ波出力は200W、反応圧は400mTorrとし、種結晶過程でのLBL過程での堆積時間、水素処理時間は10秒としました。種結晶プロセスでは基板温度を380Cとし、成長プロセスでは220C-380Cと振っています。また、この際、主に各過程でのSiF4/H2流量比をパラメータとして振っています。
　得られた薄膜の構造は分光エリプソメータ、XRDを用いて評価しました。

⑧<?2>実験結果（同じ流量）
　ここにエリプソメータで測定した擬誘電関数<?2>の成長過程における変化を示します。この点から成長プロセスを開始し、それより左側は種結晶の<?2>を示しています。<?2>は薄膜の表面構造に非常に敏感で、<?2>の減少は薄膜の結晶性低下あるいは表面ラフネスの増大を意味します。
　種結晶を作製した後、大気開放せずに成長プロセスを行ったところ、このように、先に示したようなディップは観察されません。
　しかしながら、成長温度を350Cにさげただけでも、このように急激な<?2>低下が起こり、界面で急激な構造変化が起こっていることがわかります。

⑨<?2>実験結果（種結晶プロセスにおいて、SiF4流量を増やす）
　次に、温度低下による効果を補うため、種結晶プロセスと成長プロセスでガス流量を変えて、界面がどのように変化するかを調べてみました。
　まず、種結晶プロセスに較べて成長プロセスでのSiF4流量を少なくしてみました。その結果、基板温度350Cにおいても、界面で<?2>が連続的に変化しており、界面構造が改善されていることが分かります。ただし、この場合でも320Cでは大きな<?2>低下が起こります。

⑩<?2>実験結果（H2流量も制御）
　さらに、今度は成長プロセスにおけるH2流量を増加させ、種結晶プロセスと成長プロセスでのSiF4/H2比をさらに大きくして調べてみました。
　その結果、このように280Cくらいでも界面の構造が滑らかにつながり、また、成長を続けても大きな<?2>低下が起こらなくなります。
　このように、まず種結晶をSiF4/H2流量比が大きな条件で作製し、その後SiF4/H2流量比を下げて成長プロセスを行えば、基板温度を下げても連続的な界面を保ったまま2段階成長が可能になることが分かりました。
　
⑪種結晶の異なる場合の<?2>の比較
　次に、2段階成長法において、種結晶が成長薄膜にどのような影響を与えるかを調べてみました。
　これは種結晶の作製条件だけを変え、全く同じ条件で成長プロセスをおこなった際の<?2>変化を示しています。右図の種結晶の<?2>が小さく、アモルファス相が多い種結晶であることが分かります。
　高温で成長させた場合、この2つのケースで大きな差異は見られませんが、280C以下では成長プロセス中の<?2>低下が大きくなっていることがわかります。

⑬種結晶の異なる場合のSE, XRDの比較
　これは得られた薄膜の構造をSEとXRDで調べた結果ですが、両者がはっきりと異なっており、280C以下で成長させた膜で結晶のピークがほとんどなくなっています。このように、種結晶がアモルファスリッチの場合、その上に成長させた膜の構造も種結晶の構造を反映してアモルファスリッチになることが分かりました。

⑭まとめ
　まとめです。
　種結晶プロセスと成長プロセスにおいて、ガス流量を制御することにより連続的・滑らかな界面を実現できました。
　種結晶の構造が最終的な薄膜の構造に大きく影響していることがわかりました。


